2026.10.23 COLUMN
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フルスペクトルLEDとは?自然光に近い光とデスクライトへの可能性

デスクライトの光が虹色に広がり、写真集や色見本を照らすイメージ

LEDの光が、太陽光に近づいている。
そう聞くと、「今までのLEDとは何が違うの?」と気になりませんか。

私たちが普段使っている白色LEDと太陽光では、光に含まれる波長のバランスが異なります。その違いに着目し、自然光に近い光を目指して開発されているのが「フルスペクトルLED」です。

フルスペクトルという言葉は植物育成用の照明でも使われていますが、自然光に近い分光分布を目指すLEDは、美術館などの照明や家庭用デスクライトにも採用されています。

では、自然光に近いLEDなら、目にもやさしく、仕事や読書もしやすくなるのでしょうか。

光源の技術は進歩していますが、見やすさや快適性への影響は、それほど単純ではありません。

この記事では、メーカーの技術資料や2026年に発表された研究を手がかりに、私たちが日常的に使う室内照明としてのフルスペクトルLEDの特徴と、今後の可能性を考えます。

フルスペクトルLEDは、自然光に近い波長分布を目指したLED

フルスペクトルLEDの特徴を知るには、光の「色」だけでなく、どのような波長の光が含まれているかに注目する必要があります。

私たちが白い光だと感じていても、その中には赤、緑、青など、さまざまな色に対応する波長の光が含まれています。どの波長の光が、どれくらい含まれているか。この光の内訳を表すのが「分光分布」です。

同じ白い光でも、波長のバランスは違う

一般的な白色LEDの多くは、青色LEDの光と、その一部を蛍光体によって変換した光を組み合わせて白色を作っています。

この方式では、分光分布のグラフに青色付近のはっきりしたピークが現れることがあります。

演色性と波長比較図

一方、フルスペクトルLEDと呼ばれる製品の中には、LEDチップや蛍光体を工夫し、波長の偏りを抑えて自然光の分布に近づけようとするものがあります。

フルスペクトルは蛍光灯や植物育成用照明にも使われる言葉

実は、フルスペクトルという考え方自体は新しいものではありません。
以前から蛍光灯にも使われてきた名称で、植物育成用のLED照明にも広く使われています。

ただし、植物育成用では光合成に利用される波長や光の量が重視されるのに対し、人が使う室内照明では、色の見え方や明るさ、まぶしさなども重要です。

また、「フルスペクトル」という名称には、すべての照明製品に共通する統一的な判定基準がありません。そのため、同じ名称でも製品によって分光分布や設計目的は異なります。

当店で販売している「ジェントライト」も、フルスペクトル蛍光灯を採用したデスクライトです。

今回取り上げるのは、こうした光の考え方がLED技術にも取り入れられ、発展しているという話です。

自然光に近づけるLED技術は、すでに実用化されている

フルスペクトルLEDイメージ

自然光に近い分光分布を目指すLEDは、すでに実用化され、美術館や室内照明などにも採用されています。

例えば、日本の日亜化学工業が開発した「Optisolis(オプティソリス)」は、自然光に近い分光分布を目指したLEDです。平均演色評価数Ra98〜99という高い演色性を持ち、美術館や博物館など、色の見え方が重要な場所でも採用されています。

また、韓国のソウル半導体が展開する「SunLike(サンライク)」も、自然光に近いスペクトルを目指したLED技術です。国内でも、この技術を採用したデスクライトが販売されています。

美術館や博物館だけでなく、洋服の色を確かめたり、写真を見たり、絵を描いたりする身近な場面でも、光による色の見え方は大切です。

自然な色の再現を目指すフルスペクトルLEDは、こうした日常の作業でも可能性のある技術といえるでしょう。

高演色LEDとフルスペクトルLEDは何が違う?

実は、従来のLEDにも、物の色を自然に見せる「高演色LED」はあります。

演色性とは、照明の下で物の色がどのように見えるかを表す性能です。代表的な指標であるRaは、基準となる光と比べて、色の見え方がどれくらい近いかを評価します。

一方、自然光に近いスペクトルを目指すフルスペクトルLEDは、色の見え方だけでなく、光に含まれる波長のバランスそのものにも着目しています。

つまり、高い演色性と、太陽光に近い分光分布は、関連していても同じものではありません。

Raだけでは分からない光の特徴や、演色性を評価する別の指標「TM-30」については、関連記事「LEDデスクライトは演色性が高くても不自然?Raだけでは分からない色の見え方」で詳しく解説しています。

【研究コラム】自然光に近いLEDで仕事ははかどる?

2026年、韓国の研究者らが成人40人を対象に、一般的なLEDとフルスペクトルLEDを、明るさを変えながら比較しました。

その結果、照明の明るさによって心理的な疲労や眠気に違いが見られた一方、フルスペクトルLEDが作業効率や視覚的な快適性で一貫して優れているとは確認されませんでした。

この研究は限られた条件でのLED同士の比較です。蛍光灯との優劣を示すものではなく、フルスペクトル光源全般の効果を判断できるものでもありません。

自然光に近い分光分布が、人の感じ方や作業にどのように関わるのか。光源の種類だけではなく、明るさなどの条件も含めた今後の研究が期待されます。

出典: Kimほか(2026)「Effects of Full-Spectrum LED Office Lighting on Psychological and Cognitive Responses」

光源が進化すれば、デスクライトもよくなる?

どれほど優れたLED素子を使っていても、それだけで使いやすいデスクライトになるとは限りません。

例えば、本を読むとき。手元は十分に明るくても、ページの端が暗かったり、光源が目に入ってまぶしかったりすると、快適に読めるとは言いにくいでしょう。

ここで重要になるのが、デスクライトの設計思想です。

広い机を均一に照らすのか、必要な場所へ光を集中させるのか。光源をどこに配置し、まぶしさや影をどう抑えるのか。目的によって、適した設計は異なります。

照明には、光がどの方向へ広がるかを示す「配光」や、照らす範囲の明るさの均一さを表す「均斉度」といった評価項目があります。

これらはLED素子の性能だけでなく、セードや拡散カバー、光源の配置など、器具全体の設計によって変わります。さらに、実際の使いやすさは、ライトを置く位置や作業内容、周囲の明るさにも左右されます。

優れた光源を、どのような目的で、どう活かすか。

デスクライトの使いやすさは、光源の性能だけでなく、その性能を活かすための設計によっても大きく変わります。

当店で取り扱う、光の質や照らし方にこだわったデスクライト。
左から「自然光デスクライト・ワイド」「自然光デスクライト・スタンダード」「ジェントライト」

まとめ|フルスペクトルLEDの可能性と、私たちが大切にしたいこと

フルスペクトルLEDは、自然光に近い光を目指す技術の、新たな選択肢の一つです。
今後、光源技術の進歩や研究の積み重ねによって、光の特性と人の快適性との関係が、さらに明らかになることが期待されます。

私たちデスクライト名品館が大切にしているのも、目に配慮した、使いやすいデスクライトをお届けすることです。

そのために大切なのは、LEDか蛍光灯かという光源の方式や、新しい技術であることだけで判断しないこと。光の質はもちろん、照らす範囲やまぶしさ、実際の使い方まで考え、その人の作業環境に合った照明を届けることです。

フルスペクトルLEDをはじめ、光の技術がこれからどのように進化していくのか。
私たちも新しい知見を学び続けながら、一人ひとりの暮らしや作業に合った、よりよい光環境を考えていきたいと思います。

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