リジュセアだけじゃない?ミヨスマート・マイサイト・オルソKなど、近視進行抑制の違いは?
「学校検眼で視力が下がっていると言われた」「眼科でリジュセアを勧められたけれど、ほかにも方法があるの?」「ミヨスマートやマイサイト、オルソケラトロジーは何が違う?」
最近は、近視について調べると、以前にはあまり聞かなかった名前を目にすることが増えました。
実際、当社にもリジュセアをはじめ、近視の進行を抑える方法についてのお問い合わせが増えています。
近視への対応は、眼鏡で見え方を補うだけではありません。現在は、点眼薬、近視管理用眼鏡、ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、赤色光を利用する方法など、近視の進行を抑えることを目的とした複数の選択肢があります。
ただし、それぞれ仕組みも使い方も異なり、「新しい方法だからよい」「一番効果が高そうなものを選べばよい」と単純には決められません。
この記事では、長年視力に関する相談に携わってきた経験も交えながら、最近よく聞く近視進行抑制法の違いと、選択肢が増えた今だからこそ知っておきたいことをお伝えします。
リジュセアだけじゃない。今は近視進行抑制の選択肢が増えている
「リジュセア」「ミヨスマート」「マイサイト」「オルソKって何?」という方のために、代表的な方法を簡単に整理します。
近視への対策は、すべて同じ目的ではありません。
「今の見え方を補うもの」と、「近視の進行を抑えることを目的とするもの」、さらに両方の役割を持つものがあります。

では、それぞれどのような方法なのか、代表的な選択肢を整理します。
| 種類 | 主な名称・方法 | 見えるようにする | 近視の進行を抑える | どんな方法? |
|---|---|---|---|---|
| 一般的な眼鏡・CL | 単焦点眼鏡、一般的な近視用CL | ○ | 基本的には× | 近視による見えにくさを補正する |
| 点眼薬 | リジュセアミニ(低濃度アトロピン点眼) | × | ○ | 低濃度アトロピンを点眼し、近視進行抑制を目的とする |
| 近視管理用眼鏡 | MiYOSMART、Stellestなど | ○ | ○ | 視力を補正しながら、特殊な光学設計で近視進行抑制を目指す |
| ソフトコンタクトレンズ | MiSight 1 dayなど | ○ | ○ | 視力補正と近視進行抑制の両方を目的とした特殊設計のCL |
| オルソケラトロジー | オルソK | ○ | ○ | 就寝中に特殊なハードCLを装用し、日中の裸眼視力を補正。近視進行抑制にも用いられる |
| 赤色光を利用する方法 | 反復低出力赤色光療法(RLRL) | × | ○ | 専用機器から低出力赤色光を照射し、近視進行抑制を目的とする |
※近視進行抑制法の多くは、近視が進みやすい成長期の子どもを主な対象として研究・使用されています。方法によって対象年齢や適応は異なり、オルソケラトロジーのように成人も対象となる方法もあります。
※近視進行抑制に関する国内での承認状況は方法によって異なります。使用を検討する場合は、それぞれの適応や位置づけについて眼科で確認してください。
リジュセアミニ|近視進行抑制を目的とした点眼薬
リジュセアミニ点眼液0.025%は、低濃度のアトロピンを使用した点眼薬です。
有効成分のアトロピンが目の組織に作用し、眼球の前後の長さである眼軸長の伸びを抑えることで、近視の進行を抑制することが期待されています。
近視そのものを治したり、点眼によって裸眼視力を直接上げたりする薬ではありません。
詳しく知りたい方は、当社運営の視力ランドにある用語解説リジュセアミニも参考にしてください。
ミヨスマート|特殊な設計の近視管理用眼鏡
MiYOSMART(ミヨスマート)は、通常の眼鏡のように見え方を補正しながら、近視の進行を抑えることを目的とした近視管理用眼鏡です。
レンズ中央では通常どおり視力を補正し、その周囲に配置された多数の小さなセグメントによって近視性デフォーカスと呼ばれる光学的な状態をつくります。これにより、眼軸長の過度な伸びを抑え、近視の進行抑制につながることが期待されています。
近視管理用眼鏡にはミヨスマートのほか、Stellestなど複数の製品があります。一般的な近視用眼鏡が主に「今の見え方を補う」ものであるのに対し、近視管理用眼鏡は、視力を補正しながら近視進行抑制も目指す点が特徴です。
詳しく知りたい方は、当社運営の視力ランドにある用語解説、近視管理用眼鏡・ミヨスマートも参考にしてください。
マイサイト ワンデー|近視進行抑制用のソフトコンタクトレンズ
MiSight 1 day(マイサイト ワンデー)は、近視の視力補正と進行抑制を目的とした1日使い捨てソフトコンタクトレンズです。
レンズには、遠くを見えやすくするための視力補正部分に加えて、近視性デフォーカスをつくる特殊な光学設計が採用されています。これにより、眼軸長の過度な伸びを抑え、近視の進行抑制につながることが期待されています。
一般的な近視用コンタクトレンズが主に「今の見え方を補う」ものであるのに対し、マイサイト ワンデーは、視力を補正しながら近視進行抑制も目指す点が特徴です。
コンタクトレンズのため、正しい着脱や衛生管理も重要です。
詳しく知りたい方は、当社運営の視力ランドにある用語解説マイサイト ワンデーも参考にしてください。
オルソケラトロジー|就寝中に装用する特殊なコンタクトレンズ
オルソケラトロジー、通称「オルソK」は、就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を一時的に変化させる方法です。
角膜中央部を平坦化することで近視の見え方を補正し、朝にレンズを外した後もその効果が続くため、日中は眼鏡やコンタクトレンズを装用せずに過ごすことを目指します。
ただし、角膜の変化は一時的なもので、装用をやめると徐々に元の状態へ戻ります。効果の持続時間には個人差があるため、夕方以降に見えにくさを感じる場合もあります。
また、角膜の形状変化によって周辺網膜に近視性デフォーカスが生じ、眼軸長の伸びを抑えることで、近視の進行抑制につながると考えられています。
夜間にコンタクトレンズを装用するため、レンズの衛生管理や定期的な眼科受診が重要です。
詳しく知りたい方は、当社運営の視力ランドにある用語解説オルソケラトロジーも参考にしてください。
反復低出力赤色光療法(RLRL)|赤色光を利用する方法
反復低出力赤色光療法(RLRL)は、専用機器から650nm前後の赤色光(可視光)を目に照射し、近視の進行を抑えることを目的とした方法です。
赤色光による刺激が網膜や脈絡膜などに作用し、眼軸長の伸びを抑える方向に働くと考えられています。特に、脈絡膜の厚みや血流の変化との関係が研究されています。作用の仕組みはまだ完全には解明されていません。
短期的な安全性については一定の報告がある一方、長期的な安全性についてはまだ十分に分かっていない点があります。
詳しく知りたい方は、当社運営の視力ランドにある用語解説反復低出力赤色光療法(RLRL)も参考にしてください。
なぜ「近視の進行を抑えること」が大切なのか
近視が進んで強度近視になると、単に「眼鏡の度数が強くなる」という問題だけではありません。
眼軸長が過度に伸びることで、将来的に
・近視性黄斑症
・網膜剥離
・緑内障
などの眼疾患にかかるリスクが高くなることが知られています。
そのため現在は、「見えにくくなったら眼鏡で補う」だけでなく、「近視そのものがどの程度進んでいるかを確認し、必要に応じて進行を抑えることも考える」という考え方が重視されるようになっています。
特に子どもの近視は成長期に進むことがあるため、学校検眼などで視力低下を指摘されたときは、「眼鏡が必要か」だけでなく、現在の近視の程度や進み方について眼科で確認しておくことが大切です。
※近視の進行をできるだけ抑えることの大切さについては、こちらの記事も参考にしてください。
20年前と今では、近視についての「迷い方」も変わった

近視について寄せられる悩みは、昔と今で少し変わってきたように感じます。
当社の別部門である眼育総研(めいくそうけん)では、20年近くにわたり、家庭で続けやすい視力トレーニング機器を取り扱ってきました。
また、当時から電話やメールによる「視力お悩み相談」を行っており、筆者自身も長年、相談対応に携わってきました。
「ミドリンをいつまで続ければいい?」という相談が多かった頃
当時よく寄せられていたのは、たとえば次のような相談です。
「効果を感じないのに、いつまでミドリン(目薬)を続ければいいのでしょうか。先生には何となく聞きづらくて……」
「家でトレーニングすれば、視力は上がりますか?」
「視力センターへ通おうか迷っています」
「視力が悪くなるからと叱っても、ゲームばかりで困っています」
学校検眼で、昨年はA判定だったのに今年はC判定になった。急に視力が下がったことにショックを受けた。眼鏡にするべきか迷っている――そんな親御さんからの相談も少なくありませんでした。
当時も、「このまま様子を見てよいのか」「眼鏡にするべきか」「家庭で何かできることはないのか」と、どの対応を選べばよいのか迷う声が多くありました。
選択肢は今ほど多くなくても、わが子にとって、今どの対応を選ぶのがよいのかという迷いは、すでにあったように思います。
※当社の「視力お悩み相談」は、医療的な診断や治療法の選択を行うものではありません。お子さんの近視の経過や普段の目の使い方、生活習慣などをうかがい、主に家庭でできる生活環境の見直しについてお伝えしています。
リジュセアやオルソケラトロジーなどについても、一般的な情報はご案内できますが、実際に使用するかどうかは眼科医と相談しながら、ご家庭で判断していただくことになります。
今は「どの方法を選べばいい?」という迷いも
現在は、リジュセア、ミヨスマート、マイサイト、オルソケラトロジーなど、以前にはなかった選択肢も増えています。
選択肢が増えたこと自体は、近視への対応を考えるうえで大きな変化です。
その一方で、
「リジュセアを勧められたけれど、ほかの方法もある?」
「目薬とオルソケラトロジーはどちらがいい?」
「ミヨスマートとマイサイトは何が違う?」
といった、新しい迷いも生まれています。
昔と今で選択肢は変わっても、「自分やわが子には、どの方法が合っているのか」「この選択でよいのか」と迷う気持ちは、あまり変わっていないのかもしれません。

選択肢が増えた今、まず何を確認すればいい?
方法を先に選ぶより、まず現在の目の状態を確認することが出発点です。
「リジュセアが話題だから」「オルソKなら眼鏡をかけなくてよさそうだから」と方法だけを先に決めるのではなく、眼科で近視の状態や進み方を確認したうえで相談、検討します。
判断材料には、たとえば次のようなものがあります。
・年齢
・現在の近視の程度
・近視がどのくらいの速さで進んでいるか
・眼軸長などの検査結果
・コンタクトレンズを適切に管理できるか
・毎日継続できるか
・生活スタイル
・それぞれの方法の副作用やリスク
同じ「近視進行抑制」という目的でも、点眼する方法、眼鏡をかける方法、コンタクトレンズを使う方法では負担も注意点も異なります。
自分に合う方法を選ぶための材料を知り、眼科で相談することが基本です。
選択肢が増えても、日常の目の使い方は大切

眼鏡などでよく見えていても、それだけでは近視そのものが進んでいないとは判断できません。
また、近視進行抑制の治療を受けていても、日常の目の使い方や生活環境への配慮が不要になるわけではありません。
点眼薬や近視管理用眼鏡、オルソケラトロジーなどは、それぞれ近視の進行を抑えることを目的とした方法ですが、普段の生活では、近くを見る時間や距離、休憩、屋外活動なども引き続き意識しておきたいポイントです。
治療だけに任せるのではなく、医療的な対応と、日常の目の使い方を両方から考えることが大切です。
日常生活で意識したいこと
家庭では、次のような点を見直しておきましょう。
・近くを長時間見続けない
・読書やタブレットを見る距離を近づけすぎない
・こまめに目の休憩を取る
・屋外で過ごす時間を増やす
・読み書きしやすい姿勢や机まわりの環境を整える
家庭学習や在宅ワークでは、机や椅子の高さ、見る距離、休憩の取り方、机まわりの明るさなども、日々の目の使い方に関わります。
具体的な工夫については、以下の記事で詳しく紹介しています。
→ 学校検眼をきっかけに考えたい。仕事で酷使する“自分の目”は大丈夫?
→ 眼精疲労は休憩でラクになる?疲れ目を軽減する「ハーフタイム」と予防方法
リジュセアやオルソKとホームワックは、どう違う?
当社には、ホームワックをほかの近視対策と比較するお問い合わせもあります。
たとえば、
「リジュセアとホームワックはどちらがいいですか?」
「オルソケラトロジーをしている場合、ホームワックは必要ありませんか?」
といった疑問です。
ここで知っておきたいのは、リジュセアやオルソケラトロジーなどと、ホームワックでは近視へのアプローチが異なるということです。
リジュセア、近視管理用眼鏡、マイサイト、オルソケラトロジーなどは、近視の進行を抑えることを目的として眼科で検討される方法です。
一方、ホームワックは、雲霧法の考え方を応用し、ピント調節に関わる目の働きを家庭でトレーニングするために医師監修のもとで開発された機器です。
開発時には、東京医科歯科大学の鈴木弘一医師による試作機を用いた臨床試験も行われています。1974年に小学生など30名を対象として60日間実施され、裸眼視力の平均値に変化が確認されました。[臨床試験の詳細はこちら]
ただし、この試験は現在の近視進行抑制治療で重視される眼軸長などを評価したものではありません。そのため、リジュセアやオルソKの代わりになる治療として比較するのではなく、家庭でピント調節に着目したトレーニングを取り入れるという別の役割で考えるのが適切です。
つまり、
近視の進行については眼科で必要な対応を相談し、家庭では日常の目の使い方や休息習慣を整える。そこに、必要に応じてホームワックによるピント調節トレーニングを取り入れるという考え方です。
ホームワックは医療機器ではなく、眼科での診断や近視進行抑制治療に代わるものではありません。
まとめ|迷ったら、まず今の目の状態を知るところから

近視への選択肢は、この十数年で大きく増えました。だからこそ、「どれが一番よいか」を先に決めるのではなく、まず今の目の状態や近視の進み方を知ることが大切です。
そのうえで、必要な医療的対応については眼科で相談し、家庭では近くを見る時間や距離、休憩、屋外活動など、日常の目の使い方も見直していきましょう。
選択肢が多いと、どれが自分やわが子に合うのか迷うこともあると思います。
この記事が、迷ったときに選択肢を整理し、自分やわが子に合う方法を考えるきっかけになれば幸いです。
今の目の状態を知るために
ご自身やご家族の目について考えるきっかけとして、以下のコンテンツもお役立てください。
▶ Webでできる視力検査
パソコンやスマートフォンから、左右の視力を簡易的にチェックできます。まず現在どのくらい見えているかを確認したいときに利用できます。※眼科で行う視力検査や診断の代わりになるものではありません。 視力ランド|目の健康と視力回復のための総合情報サイト
Webで視力検査をする
▶ 視力向上可能性判定
年齢、現在の裸眼視力、近視になった時期、日頃の目の使い方などを入力し、目の状態を振り返るためのコンテンツです。生活習慣を見直すきっかけとして活用できます。 視力ランド|目の健康と視力回復のための総合情報サイト
視力向上可能性判定を試す
▶ ピント年齢診断
生活習慣と簡易的な見え方チェックから、現在のピント調節の傾向を確認できます。「近くを見続ける時間が長い」「最近ピントが合いにくい」と感じる大人の方にも使いやすいセルフチェックです。 デスクライト名品館
ピント年齢診断を試す
主な参考資料
・日本近視学会・日本眼科学会「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン(第1版)」 日本眼科学会
・日本眼科学会「オルソケラトロジーガイドライン(第2版)」 日本眼科学会
・参天製薬「近視の進行抑制を目的とする日本初の点眼剤『リジュセア®ミニ点眼液0.025%』発売のお知らせ」 Santen Global Website
・クーパービジョン「マイサイト® ワンデー」製品情報 CooperVision Japan
・Chen Y, et al. “Safety of repeated low-level red-light therapy for myopia: A systematic review.” Asia-Pacific Journal of Ophthalmology, 2024
・デスクライト名品館「大学と眼科医による、ホームワック開発の臨床試験結果」

